息吹

Kuma Experiments 2024-25 vol.2 グループ展「いるけどいない いないけどいる」

《息吹》2024, 超音波フェーズドアレイ. 2024年11月16-24日, クマ財団ギャラリー(東京都港区)

本作は、質量のない存在が空間に生まれ、やがて霧散していく様を表現したサウンドインスタレーションである。超音波フェーズドアレイ技術を用いて、人間の耳には聞こえない超音波を空中の一点に集束させ、そこから音の像と空気の流れを生み出す。音が消えると、その存在もまた消え去る。音が響くことで生まれる一瞬の存在感と、消えた後にも残る余韻。その交錯の中で、見えない存在の息遣いを感じ取る。音の影が空間を漂い、存在と不在の狭間で揺れ動く。この体験を通じて、聴覚を超えた感覚の深層に刻まれる、見えない生命の繋がりを探求する。(機材協力:ピクシーダストテクノロジーズ株式会社)

Nostalgia

筑波大学大学院現代美術展「ひろう」出品作. 私たちがノスタルジーを感じる古き良き真壁の街並みの中で、私たちに向けられるノスタルジーに目を向ける作品。やがて身体性が切り離された未来のヒトがデジタルマップ上を歩き回り,その移動に応じて展示空間中の靴から足音が発生する.

Memory of Being

私たち人間は生活する中で様々な音を発する。その音は人の存在感を生み、やがて減衰して痕跡が失われてゆく。この作品は、靴の音を人工的に発生させることで民家の中に人の痕跡を表出させ、そこに誰かがいるかのような体験を生み出す。


アートチーム「-間-」グループ展「ここに滲みつつある。」, 《Memory of Being》(2022年9月2~8日, PRIVATE, 東京都江東区大島)

bugs

家電などの廃品を一度分解し、取り出した部品や基板による、機械にとっての自然をアッサンブラージュした。虫を模した振動モーターがその中を飛び回る様は、一つの「自然」として成立しているのではないだろうか。題名の《bugs》は「小さな虫」を意味すると同時に、「設計者が意図しない動作」という意味がある。振動モーターは凹凸のある表面で不規則に跳ね飛び、その挙動は人間が予測できない。人間が作った機械であるのに人間が予測できない、その挙動に私は生物らしさを見出す。

sound bugs

《sound bugs》は、小さな虫を模した小型の振動モーターが、様々なマテリアルをもった物の上で不規則に飛び回る作品です。小さな虫が群を成すことで一つの生命体として機能しているように、一つ一つの振動モーターから発生する音は極めてシンプルですが、物理的な制約故のそれぞれ固有のパターンを含んでいます。何十もの振動モーターから音が発せられることで、一つの大きな「リズム」を織りなします。